2016年11月22日火曜日

(183) 人種

「人種差別はいけない」と言うが、人間の脳は、本能的に人種を分けてしまう。
 
黄色人種(モンゴロイド)同士で、いがみあっている姿を見て、俺は、「もったいないなあ」と強く感じてしまう。
 
「外人(ガイジン)」という言葉があるが、日本人が「外人」と聞いてイメージする人の中には、多分、アジア人、特に、中国人と韓国人は含まれていない事が多いと思う。
 
これは、本能的に、同じ黄色人種を「ガイジン」と捉えず、「同じ人種の人達」と捉えているからだ。だからこそ、多分、韓国人や中国人と日本人の間で、軋轢が生じる。どっちが上か、偉そうか、みたいな喧嘩は、同じ肌の色をしているからこそ起こってしまう。
 
韓流スターに対して、何とも言えない「嫌悪感」という思いを感じる人(男)は、多分、心のどこかで、「嫉妬(jealousy)」を感じているんじゃないかと思う。多分、「俺達日本人の女を、同じ人種に奪われると悔しい」という深層心理だ。例えば、黒人男性や白人男性と結婚する日本人女性に対しては、「ガイジン男性と結婚するなら、しょうがないよな」と諦めるんだが、何故か、同じ黄色人種の韓国人と中国人に対しては、「日本人女性を奪われた」と感じてしまう。逆もそうだと思う。数年前、中国に社員旅行して乱痴気騒ぎした事件があったが、これなんかも典型だと思う。
 
つまり、人間は、本能的に「人種」によって境目を作っている。多分、「日本人とそれ以外」という境目と、「黄色人種とそれ以外」という境目があって、中国人や韓国人に対して強い憎しみを感じてしまう人は、後者の境目がある事に対しての認識が、多分弱い。それに気付けば、多少、怒りは収まるんじゃないかと思う。
 
逆を考えると、多分、SAPIOの読者層の人達も、違う見方になる可能性がある気がする。
 
最近は、一部の例外を除き、韓国人の多くは日本人に対しての嫉妬心を以前ほど持たなくなったはずだ。むしろ、韓国では、中下流層の不満は、自国の財閥企業、特にSamsungに向かっているはず。それは、国の平均値として、豊かになったからだ。
 
一方で、中国に於いて、「日本の戦争責任を問え」「南京大虐殺」みたいなテーマは、国際問題じゃない。中国の内政問題だ。何故かと言うと、多くの普通の中国人は、同じ黄色人種なのに、明らかに国全体として豊かな生活を享受しているように見える、俺達日本人の事が羨ましいという気持ちを持っている。そこに嫉妬心がある。その嫉妬心は、多分、白色人種のアメリカや、ドイツには向かいにくい。何故かと言うと、「ガイジンが豊かなのはしょうがないよね」という諦めを、(日本人同様)中国人も持つからだ。
 
中国政府が日本の戦争責任に庶民の怒りの矛先を向かせるようにせざるを得ないのは、その矛先が容易に自分達、中国政府に向く事を理解しているからだ。中国人でも、エリート層は、その事に気付いている。でも、大多数の中国人(網民とか呼ばれる、日本で言うと2ちゃんネラーみたいな、膨大な数の中下流層)は、薄々気付きつづも、「日本憎し」というジェラシーを突かれると、つい煽られてしまう。日本人の男が、韓流スターにジェラシーを感じるのを止められないのと同じで、中国人の庶民にとって、同じ黄色人種で、良い生活をしている、俺達日本人に対してのジェラシーは、心の底から自然に湧いてきてしまう感情なんだろうと思う。
 
中国で言論統制(ネット規制等)をせざるを得ないのは、政府側が、自分達の既得権を守るために、そうせざるを得ないからだと思う。「政府」と言っても、多分、中国人の政府関係者の人数は、膨大な数がいるだろう。
 
アメリカの頭のいい人達は、その事を理解しているから、多分、中国を兵糧攻めにしようと考えているような気がする。つまり、Newsweekなどに代表される雑誌等で、英語で中国の姿を書いて、その英語を読んだ(エリート層の)中国人自身による、政府側への抗議が起こる可能性がある事を、多分理解している。
 
一方で、日本のマスコミ、雑誌等では、そういう中国の姿を、今ひとつ俺達に上手に説明しきれていないと思う。そんな中で、漁船の衝突事件みたいな事件に腹を立てて、まっ正直に日本人が抗議すると、それをチャンスとばかりに、中国の既得権層が、それを中国の内政問題に利用しようとする。そういう意味に於いて、パトリオティズムを持つ日本人が、本当に中国にズッコケさせたいなら、その構造を逆に利用してしまえばいいと思う。仮に、日本からの抗議が正当であっても、真正面から抗議するのは、多分、「バカ正直」だ。相手側の情報収集が多分不足している。「己を知り敵を知れば百戦危うからず」という有名な言葉があるが、己の事も敵の事も世界という視点で見れていない。
 
「中華思想が根強い」とか「中国人の考えは危険だ」とかいう言葉を発信し過ぎる人は、多分、中国という国の「でかさ」を理解していない。あの国は、10億人いて、国の面積も日本よりも圧倒的に広い。人種や考え方の違う人、経済的格差という意味ではある意味、アメリカに近いものがある。そして、今現在、中国人の大多数の庶民は、「必死に頑張ってるのに豊かになれない」事に対して、尋常じゃない程フラストレーションを溜めている。中国であれ、アメリカであれ、日本であれ、最終的に一番力を持つのは、「庶民」だ。世界中どの国でも、庶民は、「自分と自分の家族が豊かになりたい」と強く願っている。
 
そのバカでかい中国を安定させるなら、多分、アメリカのように、人種間の対立を抑えるシステム、例えば共和党と民主党の2大政党制みたいなものを導入し、チベット人も幸せに生きられるようにしないとうまくいかないと思う。多分、中国の政府関係者の頭が良い人は、その事を理解しつつも、それでも、チベットを弾圧しないと、今現在の庶民の爆発、それが自分達、既得権側に向く事から逃れられないと考えているんじゃないかと思う。
 
この中国の庶民のフラストレーションの爆発が、近い将来起こる可能性が高いという状況下で、「反日」の方向に火を着けさせてしまえば、多分、アメリカやヨーロッパが「漁夫の利」を得てしまう。日本が取るべき最善の戦略は、多分、「火の粉を被らない」ようにする事であり、「大日本帝国」的な危なっかしい言葉とは、関わりを持ちたくない。

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