2016年11月21日月曜日

(149) 「本音」「建前」即是空

【(113) 眼耳鼻舌身意】の続き。
 
英訳できない、日本語の
「本音(ホンネ)」
「建前(タテマエ)」
この2つの言葉は、我々日本人の精神的文化の神髄だと思う。
 
ホンネとタテマエを使い分けるという我々日本人の国民性は、
東日本大震災の「ガレキ処理問題」に象徴されるように、
欧米人から見ると多分、理解不能だ。
 
俺のような、一般の日本人ですら、普通の感覚でこのガレキ処理問題の報道を見た時、
「何だ、この二面性は?」
「『絆』ってあれだけテレビで言ってるのって何なんだ?」
と思ってしまったりする。
 
でも、おそらく、この二面性は、いい意味でも悪い意味でも、
多分、我々日本人がご先祖様から受け継いできた、日本人ならではの、「精神文化」だ。
 
あえて考えやすくするために、最近流行りの、
「60歳近い男性芸能人・有名人が30歳近く年下の美人な女性と結婚する」というケースを考える。
なお、本人同士が幸せなら、別に、周囲がとやかく言う筋合いはない。
俺は、決して、そんな60歳近い男性有名人たちの事を妬み、僻んでいるわけではない。・・・多分。
 
【60歳近い、男性側が考えるんじゃないかな、と予想される事】
①嬉しいな、こんな美人で若い嫁さんもらえて。ムフフ・・・
②でも、世間からは、「年甲斐もなく」と思われるだろうな。
③俺のようなジジイの考え方、若い奥さんは理解してくれるだろうか。
④でも、年を取っていろいろな経験をしたからこそ、奥さんに教えてあげられる事はあるだろうな。
⑤あと20年もしたら、俺、介護必要になっちゃうかもな。そんな時、若い嫁さん、介護してくれるかな。
⑥俺が死んだあと、遺産どうするかな。別れたカミサンとか実の娘と、若い嫁さん、どうバランス取るかな。
 
【30歳近く年下の、美人の女性が考えるんじゃないかな、と予想される事】
①有名人で、経験豊富で、尊敬できるだんなさんと結婚できて嬉しいわ。
②お金持ちだから、お金の面で苦労する心配もなさそうだわ。
③あと20年後、もしかしたら私が介護しなきゃならなくなるかもしれないけど、そうなったらそうなったで頑張ろう。
④世間からは「金目当て」と後ろ指さされるかもしれないけど、そんなの気にしないわ。
⑤有名人の奥さんになるんだから、きっと私も有名になれ、目立つ事が出来る。
⑥30歳以上年上の夫が死んだ後は、遺産で私自身の充実した人生を送ろう。
 
下世話な想像で申し訳ないが、
赤字 : 建前(タテマエ) ⇒ 相手・或いは世間に対して口に出せる気持ち
青字 : 本音(ホンネ)  ⇒ 仮にそういう気持ちがあっても、口に出さない方が無難な気持ち
である。
 
ここで般若心経の言葉、
「色即是空」的に考える。
ありとあらゆるものは実体がない。
「建前」「本音」なんて、脳が勝手に考えた「実体のないもの(空)」である。
 
つまり、上記したの色分けは、
日本人脳だと無意識のうちに色分けしてしまうが、
実は、そんな色、「実体がないもの(空)」なのである。
 
実際、仮に、俺が俺自身の脳のOSを英語脳に切り替える事ができれば
おそらく上記の青や赤の色分けは、全て単色に見える。
アメリカ人を始めとした欧米人も、いろいろな文化的な違いはあるが、
感情面では、同じ人間、同じ男と女なので、おそらく同じような事を考える。
だから、多分、男と女、それぞれが考える、①~⑥の感情自体は変わらない。
しかし、日本人との決定的な違いは、の色分けがなく、
多分、単色に見えている事だ
 
だから、欧米人の目で、東日本大震災のガレキ問題を見ると、
日本人には「二面性がある」となってしまうんだろう。
 
これは、自分自身の「日本人脳」の特徴を客観視するために、
多分、相当重要な概念だ。
 
日本人(日本語脳)は
「木を見て森を見ない」
「虫の目が強すぎて鳥の目で見れない」
「優しすぎて、優先順位がつけられない」
「優しすぎて、決めるべき事が決まらない」
「批評家ばかりで、思考力・行動力のあるリーダーを摩耗させてしまう」
「相手に気を使いすぎて、自分の本当の意見を主張できない」
 
アメリカ人(英語脳)は
「森を見て木を見ない」
「鳥の目で見るのは得意だが、虫の目が欠けやすい」
「優先順位をつけ、合理的に判断し、時に少数意見を犠牲にしてでも、
 問題解決のために合理的な判断を下しやすい」
「時に、自分の正義を信じすぎてしまい、相手に価値観を押し付けてしまう」
 
これらの傾向がある気がするが、これらの特徴も、全部キレイに説明がつくと思う。
 
上記赤と青の色分けを、我々日本人脳は瞬間的に、どういう基準で色分けているか?
優先順位 
私>私の親しい人>生きとし生けるもの : 本音(ホンネ)
優先順位
生きとし生けるもの>私の親しい人>私 : 建前(タテマエ)
である。
 
瞬間的に考えているだけなので、実は、青や赤の色分け、間違える事も多い。
それに、それが本音なのか建前なのか、なんて、100%正解の答えは存在しない。
あるのは、
口に出すか出さないかというテクニックだけなのである。
本音を隠して建前を口に出す人間になるか(善人、偽善者)
建前を隠して本音を口に出す人間になるか(悪人、正直者、バカ正直)
 
極悪人と思い込んでいた人が、わずかに見せた優しさによって、その人が凄くいい人に見えるのも、
善人と信じ込んでいた人が、ついポロっとこぼした自己中心的な発言によって、突然、
しょーもない人に見えてしまうのも、
極論すれば、人間の錯覚であり、思い込みである。
 
「悪人」という概念、「善人」という概念も、「空」(実体がない)である。
 
・・・個人的に、このような、本音&建前整理テクニックを使う事により、
日本中で起こっている、二面性が邪魔をしている問題、
結構な数を解消させるような、良い方向に向かわせる事が可能じゃないかと、感じている。
(解消の過程で、もちろん知りたくない、聞きたくないような、お互いの本音を知ってしまうだろうが、
今はインターネットの発達により、腹黒い本音が、どうせ解ってしまう。それなら、
本音と建前の色分けを無理やり消し、疑似的に、アメリカ人的な脳になってしまう方が、生産的だ。)
 
一方で、こうも感じる。
 
「本音、建前」という概念を発明した日本人のご先祖様は、相当頭がいい。
おそらく、この「本音、建前」という日本人しか理解できていないかもしれない概念を、
もし、本当の意味で海外に広める事ができれば、
もしかすると、一神教同士の紛争、悲しい衝突を、
緩和する方向に向かわせる事ができるかもしれない。
 
オトナの日本人の多くは、多分、「本音」と「建前」を使い分ける事ができるが、
欧米の精神科医から、我々が、きちんと診断を受けたら、
精神医学の用語で、「多重人格者」(解離性同一性障害)と呼ばれてしまうかもしれない。
 
日本人の俺が、アメリカ人を見て、全般的に
「悪気がない、自分の欲望に忠実で、まっ正直な人達」
という性格傾向を感じる理由も、多分これだろうと考えている。

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