2016年11月18日金曜日

(68) 日本の過剰サービス、過剰労働

同じく、愛読している、宋文洲さんのブログ。
日本と中国両方を良く知っておられるだけに、いつも鋭い。
 
 
以下、宋さんのブログから、そのまま、転記させていただく
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一緒に損している

ハワイでレンタカーを借りました。保険込みの24時間で150ドルなので安いと感じました。たまたま17時半ごろに帰ってきたので返しに行きましたが、店が閉まっていて誰も居ませんでした。ドアに書いてある連絡先に電話しても誰もでません。

地元の人に「どうしたらいいか」と聞いたら「24時間だから明日朝に返せばいい」とのことでホテルの駐車場に車を止めて翌日朝に返しに行きました。

店の前に止めて鍵を返しに行くと「駐車してから返してちょうだい」と言われました。駐車して鍵を返して誰もその車の傷の状態をチェックしません。「ガソリンを満タンにしましたか」と聞かれましたが、「あっ、忘れました・・・」と言うと「今回はいい」と微笑まれました。

そういえば借りる時も傷の確認などをしませんでしたし、何時間いくらとか、ガソリンをどうするとか、早く返す場合にどうしたらいいのかも言われていませんでした。初回は迷いましたが、その代わり、二回目以降はすっかりその気楽なシステムに慣れました。

先日、金融界の幹部達に講演しました。同席者にはテレ東の小谷キャスター、伊藤忠の小林会長、元外務省の薮中先生が居ました。少子化を克服するためにいずれ外国人労働者を受け入れるしかないと主張したのは薮中先生でしたが、小谷さんが訴えたのは働く女性の環境改善でした。

子供を産むゴールデンタイム(30歳前後)は女性が一番働く時期と重なります。子供を育てながら働く女性の社会環境は酷いと私も痛感します。その主な原因の一つは労働時間の長さです。しかし、日本の企業や商業施設において17時に正々堂々帰る会社は果たしてあるでしょうか。

重要な会議は17時以降。それでは働く女性は昇進できませんし、後ろめたさを残しながら帰るでしょう。日本のスーパーは人が居なくても22時まで開くし、コンビニは24時間が当然です。レジでは1円もミスしませんし、どんな時も丁寧な対人サービスを行います。

国が少子化対策にもっと補助を出すべきという声が多いため、政府が借金を増やして子ども手当をだしました。私は当時からフジテレビの「新報道2001」でそれを批判して前原さんと喧嘩みたいになったのです。

お金の問題ではないからです。過剰サービス、過剰労働、男性社会などの古い体質を改革しない限り、多くの問題は根本から解決しません。それは政治家、経営者など、影響力のある人々の責任だけではありません。社会全体が働き方と生き方を見直す時期なのです。

客である時は細かいことにこれあれ文句を言って王様気分ですが、同じ人が自分の職場では自分の顧客の奴隷になっています。ソープ嬢がストレス解消にホストクラブに通うようなもので一緒に損しているだけです。

それと、もっと大きな損があります。社会があまりにも細かいサービスに特化すると、世界の消費者との乖離が大きくなります。それが日系企業の海外マーケティングを難しくし、若者の海外志向を阻害します。普通の外国も全部不便不安に感じるからです。

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