2012/12/12加筆
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NHKスペシャル(4月29日放送)で、「職場を襲う”新型うつ”」
この問題は、結構難しいと思う。誤解を恐れず、あえて極端に例えると、
戦争中の、特攻隊を志願(強要?)された、20歳前後の若者の方と比べられてしまうと、
俺自身が、25歳過ぎてから一時期メンタルを病んでしまった事は、
「怠け」や「性格の問題」と言われてしまっても、反論できない気がする。
特攻隊の方と比べられてしまえば、40歳近い今の俺の精神年齢ですら、
当時20歳の方に到底及ばないかもしれない。
「『死』を覚悟して何かに忠誠を尽くす」というのは、それぐらい、人の精神年齢を上げる。
だが、平和だからこそ、これだけ40歳近い俺でも、戦時中で考えれば
ガキのような精神年齢でいられるという見方もできるはずであり、
「怠け」や「性格の問題」という議論になってしまうと、全体として見た時、
良い方向に進まない気がする。
但し、一つ問題視した方が良いと思うのは、
大勢の人数の「新型うつ」を生み出す要因の一つとして、
「一般化した精神科、心療内科、抗うつ剤等の処方」が考えられる事である。
これまた誤解を恐れずに言うと、いくら製薬会社が綺麗事を言っても、
抗うつ剤等のメンタル系の薬には、「依存性」が多かれ少なかれある。
違法薬物依存だけでなく、
パチンコ依存症や、ソーシャルゲームへの依存症、借金依存症などなど、
現代社会は、「依存症」と呼ぶか、「娯楽・快楽追求」と呼ぶか、
スレスレの所で、ビジネスというのは多分成り立っている。
パチンコ業界、サラ金業界(数年前の利率引き下げ)は規制とビジネスの綱引きの繰り返しだし、
GREEやモバゲーも、最近「パチンコと同じ」とか言われて、世間からプレッシャーをかけられている。
製薬会社が、これらの業界に対して、「自分達は正義の味方。全く無関係」と言い切る事は、
ごまかし、嘘、プロパガンダだろう。
つい数年前、「リタリンで、たりらりらーん」と言うのをニュースで見たりしたが、
新薬の承認に数年もかかるのは、この辺の線引きが、結構あいまいにならざるを得ない事の裏返しだろう。
薬には、必ずと言っていい程、副作用がある。
一方で、「精神系の薬が精神病患者を大量に産み出している」とかいう意見も、これまた極論の気がする。
実際、俺自身、薬に助けられた事があるし、薬の離脱、薬への依存の恐怖は感じたが、
医師と相談したり、自分で薬の勉強をして減薬したりして、
上手に薬と付き合う事は可能のはずだ。
また別の見方として、企業側は、
「”新型うつ病”をどの程度、一般の病気と同じように扱うか」という課題もあると思う。
例えば、癌や脳梗塞などに、働き盛りのサラリーマンが不幸にもなってしまった場合の扱いと、
”うつ病”になって長期休養したり、負荷の低い仕事しかできなくなった社員との扱いをどうすべきなのか。
同じなのか、それとも分けるべきなのか、
「Fair」にするにはどうしたらいいのか・・・
等々、考えていかねばならないだろう。
そこで、多分問題として出て来るのは、世代間格差。
明らかに、今の50代、40代、30代、20代と見た時、
「会社や国に、忠誠を尽くして仕事で頑張った時の、見返りが期待できる度合い」が違う気がする。
このギャップがあるので、「勤労は国民の3大義務の一つ」と言う、憲法だけでは、
会社や国での「勤労」「仕事」に対して、
「どの程度まで忠誠を尽くすか」という考えが、多分世代によって違うと思う。
つまり、例えば、これまで年功序列の会社で若い頃バリバリ働いてきた40代、50代の人から見ると、
「仕事はそんな甘いものじゃない。若い頃は歯を食いしばって頑張るもんだ」と見えても、
20代の若い人から見れば、
「こんな閉塞感漂っている状態で、そんな厳しい事言われても困る。
どうせ、若者世代は、老人達に全部おいしい所持ってかれるんでしょ?
そんな状態じゃ、昔の人達みたいに、仕事だけの人生じゃ、危なっかしくて仕方ない」
とか、思ってしまうかもしれない。
その世代間の違いを理解したうえで、この問題をどうするか、考えていく必要があると思う。
俺なりに予想すると、多分、答えは、「成果主義」的なものになると思う。
つまり、病気だろうと、病気に近い状態でも歯を食いしばった人だろうと、どんな状況かは関係なく、
出した「成果」的なもので評価される姿。
これは、すごくシンプルに考えれば、理想的な姿。
但し、その場合、日本の典型的な会社にありがちな、「あいまいな職務」の壁が立ちはだかるだろう。
これは自分の仕事、いや、これは自分の仕事じゃない、みたいな明確な仕事を決めず、
良い意味でも悪い意味でも「いい加減」な仕事の分担で、「お互い様」という考え方を基本として、
お互いに重複したり、ジョブローテーションしたりしながら、職場での仕事を回すケースが多いので、
「個人の成果」という切り分けは、日本的な職場では容易ではない。
「新型うつ」の人が大勢出てきた時、「休まず必死に働いている人」が
不公平感を感じたり、Unfairじゃないかと不満を感じる姿は、
「パソコンもできず、仕事も大して出来る訳じゃない、窓際の正社員」に対して、
働き盛りの若手が「何で、あんな人に給料払ってんの?給料泥棒だよ」と不満を感じる姿に、
ちょっと似ている。
相当根深い問題の、年功序列が根っこにあるような気もするが、
じゃ、だからと言って、儒教文化由来で、心理的な安定感がある年功序列を日本人からなくして、
本当に日本人の集団は良い仕事ができるのか?
それはそれで、働いていて、違った意味での精神的な不安を感じてしまわないだろうか、などと考える。
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