2016年11月16日水曜日

(18) Fairnessとお互い様

2012/2/25加筆・修正
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アメリカ人に対して、「それはFairじゃない」
と言うと非常に敏感に反応する。
彼らが、"Fair"である事を非常に重要視していることが分かる。

Fair : 公正さ
日本語にぴったり訳すのが難しい言葉の一つだが、
この言葉、狩猟民族である欧米人らしい言葉だと思う。
農耕民族である我々日本人には、今ひとつピンと来にくい)

集団でマンモス狩りをする原始人を想像した時、
当然、ある人は槍を持って勇敢にマンモスに立ち向かい、
ある人はその援護に回り、ある人は補給役、
ある人はただ見ているだけ、というふうに、皆バラバラ。

では、獲物を仕留めたとき、どう分配するのが「Fair」か?

当然、リスク(死の危険)を冒して敵に立ち向かった人が多くもらい、
ただ見ているだけだった人は、その人の持っている知識、
過去の経験や実績に関係なく、分け前が少ない。
これは、まさに成果主義のルーツだと思う。
同時に、狩りをする時に決める各人の仕事、役割が「職務」。
その職務に応じて給与が決まる、と考えると、理解しやすい。

それに対して農耕民族である我々日本人、
マンモスを狩るよりも、おそらく畑を耕して飯を食ってきた。
収穫までには最低1年、良い畑をゼロから耕し、作る事を考えれば、
5年以上を要する事もあったに違いない。
そこで効率的に人が働く時、皆で協力する事が非常に重要だったはず。
Fairに対応する言葉をあえて上げるとすれば、
お互い様

ある人の畑が運悪く天災で収穫できなくても、
他の人が助ける。
病気で畑の面倒が見れない人がいたら、誰かが手助けする。
落ちこぼれが出ないよう、皆で救う。
あまりにも酷い者がいたら、村八分にし、世間の目で互いを監視し合う。
でも、困った時は「お互い様」

こうやって、日本人のご先祖様から、
我々は様々な習慣を受け継いでいるのではないかと思う。

さて、私は最初、欧米式に、
Soft99の蓄えた資産を、「Fair」に分配するべきでは、という言い方をしていた。
しかし、もしかすると、この言い方は、A層の方々の心に響かないかもしれない。

「お互い様」「皆で分け合おう」という日本人に合った言い方で言い直すと、

現在のソフト99
(財務盤石、お金を十分ため込んでいるのに、それに対して株価が安い事)
のままでは、創業者系のA層にとっては不満が大きくなくても、
市場で株式を購入したB層にとっては、分け前が少ないと感じる。
だから、A層の方には、利益を100%配当に回す、などの、株価向上対策に賛成してほしい。

なお、「Fair」を錦の御旗にして繁栄を謳歌してきたアメリカは、
今、壁にぶち当たっている。
"We are the 99%"のニューヨークでのデモ
に象徴されるように、ヨーロッパのようなノブレス・オブリージュがないアメリカでは、
1%の勝利した人はそれを分け与える動機が当人の善意だけなので、
多くの超富裕層は自らの贅沢にだけ使いがち。
 
それに対して、99%の一般人は、あまりにも不幸だ、
という不満が爆発している。だが、Fairであるという事はそういう事じゃないのか?
という反論も成り立つ気がするし、難しい問題だと思う。

日本は格差が広がりつつあるといっても、まだアメリカほどではない。
しかし、このまま放置すれば、格差はもっと広がるだろう。

A層の方々に対して「お互い様」だから、と言うのは違和感があり、
やはり、"Fair"に行きましょう。そうしたら、アクションとしては増配ではないですか?
というのが言葉としてはピッタリくるが、
農耕民族である日本人として、腹の底では「お互い様なんだから、
10年以上前の高度経済成長期に蓄えた資産は、皆で平等に分配しませんか?」
と思っているような気もする。

1 件のコメント:

世間研究家 さんのコメント...

「まだ炎上」でググったら、何故かこの記事が上位に出てきた。

オリジナル版を書いたのは5年前、2012年の2月。懐かしくなって、久しぶりにyahooファイナンス掲示板にコメント投稿してみた。(この記事へのリンクも貼ってみた)