2016年11月22日火曜日

(171) 街の声

日本のテレビでは、当たり前のように「街の声」を紹介しているが、
アメリカではあんまりこういう報道の仕方、見た事がない。
 
サンデーモーニングを例に上げると、
銀座を歩いているような、品のある、分別のありそうな中年男性や中年女性に声をかけて、
インタビューを行い、
「震災を経験して我々日本人は何かを学ばねばならない」・・・みたいな街の声を紹介する。
 
普通のニュース番組でも、新橋を歩いているオジサン、若者に声をかけて、
「政治家はどうしようもない」みたいな街の声を紹介する。
 
俺自身、あまりアメリカのテレビを頻繁に見ないが、多分、
アメリカのテレビでは、例えば、
「Mike Sato, Mechanical Engineer」みたいな感じで、
発言する人の名前と、そのJob(職務)が画面表示され、その上で発言がされていると思う。
 
つまり、「匿名」をどう取り扱い、どう考えるかが、
日米を比較すると多分極端に違う。
 
似たような例、新聞や雑誌の投書欄もそうだ。
 
例えば、Newsweek日本版の読者からの投稿欄は、
氏名と居住地がはっきり書かれていたと思う。
それとは対照的に、例えば朝日新聞の投書欄では、
「50歳、会社員、男性」などのように、匿名性が強い。
ちなみに、「会社員」は英訳できない単語。
「職務(Job)」じゃなくて、「立場、社会的地位」だ。これも極めて日本的。
 
自分の考えや、自分の立場を否定するような匿名の意見を見た時の、
私自身の脳の反応が面白い
(むろん、私自身、英語脳と日本語脳で完全に分離している訳ではないのだが、
多分、この俺の脳が感じている感覚は間違いない、確かなものだと思う)
 
英語脳で考えると、
「まず名を名乗れ!匿名じゃ、誰からの意見なのかが解らん」
と反応する
 
一方で、日本語脳で考えると、
「おっしゃっている事は一理あるかもしれません」
と、まずはその匿名の意見の方を受け入れようとする。
 
匿名の掲示板等で、”michitenji”という「匿名のコテハン」として意見を聞いて、述べる時、
こっちは結構な量の情報をこのブログや、掲示板投稿に残しているのに、
相手側の情報が全然解らない状態で、かつ、相手側からの攻撃性を感じた時、
まず俺の脳が取る行動は、自分の脳を英語脳化する事だ。
 
「そっちは完全な匿名だ。こっちは実名じゃないとは言え、
37歳、妻子あり、零細外資系企業勤務のサラリーマンなど、
かなりの情報をopenにしている。議論をぶつけ合う状況下では、Unfairな状態だ!」
 
「この状況下で、相手側が私について知っている情報を攻撃材料にして、
こちら側を攻撃しようとして来るのは卑怯極まりない」
という怒りの感情でまずは自分を奮い立たせ、
 
その上で、極力感情を抑えつつ、日本語脳に切り替え、
日本語のルールに則って、相手側と議論をするように心がけている。
 
まだ、これが本当に有効かどうか、100%自信はない。
 
しかし、議論やディベートの能力と言う観点では、多分、
(英語力は別にしても)子供の頃から鍛え上げられているアメリカ人には、
経験上なかなか勝てない。
 
そのアメリカ人達が議論、ディベートする際の当然のルールは、
「まず最初に互いの名を名乗る。自己紹介し合う」
だから、多分上記戦略は、有効に機能するんじゃないか、と感じている。

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