2016年11月30日水曜日

(360) みのもんたさん「親の責任論」

みのもんたさんの一件、
「親の責任論に言及 海外の友人『おかしいね、日本は』」の記事(スポニチ)。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2013/09/21/kiji/K20130921006660650.html

確かに海外基準で考えると、日本のこの習慣
(20歳を超えた大人の息子の不祥事を、その親が世間に対して謝罪する)
は、明らかに「海外とは違う」。

それを日本人じゃない、海外の人が『おかしい』と捉えるのは当然だと思う。

ただし、日本人の側、特に現在、既得権を持っている年配の人が、それを『おかしい』と言う事に関しては、違和感がある。

日本の場合、未だに血縁関係のある家族の結びつきが非常に強いので、(ホンネの部分で)親と子、兄弟姉妹を一心同体と見る傾向が強い。

芸能人の話題が典型的だが、今回のように、子の不祥事を親が詫びるケースなら、みのもんたさんの他に、昔は三田佳子さんが世間で騒がれた。逆のケース、親の話題で子が世間(ワイドショー、週刊誌、スポーツ新聞等)から過剰とも言える干渉、大きなお世話を受けるケースなら、宇多田ヒカルさん。兄弟姉妹なら、後藤真希さん。ちょっと微妙な話題かもしれないが、生活保護問題の河本準一さんのケース。

これら全てに共通しているのは、身内の不祥事は身内の責任。それを、親族が本人に代わって、『世間』に対して「世間をお騒がせして申し訳ない」という言葉で謝罪する習慣がある。

「世間」という言葉が、「家族」という言葉の補完語であると考えると、理解しやすいと思うが。


一方で、「一心同体」である以上、不祥事では身内に迷惑をかけられる一方で、逆に、「親の七光り」「孝行息子」みたいな言葉があるように、財産や、名誉も、身内で共有する習慣もある。

大金持ち、有名人、資産家の息子、娘は、みのもんたさんの例を挙げるまでもなく、財産、就職、その他で有利な条件を、生まれた時から持つ事になる。

それを『日本はそういう文化』ととらえるか、あるいは、『日本はおかしい』と捉えるかは本人次第だが、既得権を持っている側(みのもんたさんやその息子さんが象徴的)が、これまで散々いい思いをしておいて、不祥事を起こした時、『おかしい』と言っちゃまずいだろう。スポニチの記事であり、本人がどういう言い方をしたのかは知らないが、そういう事言うと、「世間」は反感を持つ。


日本の場合、世代間格差は、実質上、裕福な家族とそうでない家族間の、「家族間格差」になってしまっている。

資本主義の原則から言えば、結果を残した人が裕福になるのはフェアだが、果たしてそれが世代を超えて相続されるのはフェアなのかどうか・・・

安倍首相や、トヨタを始め、日本には、優秀で、人格も素晴らしい2代目、3代目の方達が大勢いて、そういう根を張ったファミリービジネスは、世界で見た時、日本の強みでもある。

でも、中には、カジノで散財してしまった大王製紙のケースや、みのもんたさんのケースのように、代替わりで失敗するケースも数えきれないほどあるだろう。

どっちを選ぶのか?

欧米のような個人主義 ; 20歳を過ぎたら、親と子は原則として他人
日本的な家族主義 ; 家族は一心同体。良い面でも悪い面でも、連帯保証人みたいな関係。

これを決めないと、政治がどこまで家族・個人を助けるかが決まらない。

政治が何もしないと、何らかの事情で行き詰まった家族(特に自営業)は、最悪、一家心中みたいな所に追い込まれる可能性だってある。そこまで行かなくても、親にも子にも資産がなくて、収入も低ければ、結婚できず、子供を持てない今の世の中。子孫がいなければ、いずれは「絶家」になる。

それでいいんだろうか?

みのもんたさんの件から、ちょっと発展しすぎてしまったかもしれないが。

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