2016年11月22日火曜日

(199) 考え方 x 熱意 x 能力

稲盛和夫さんの有名な言葉、
【人生・仕事の結果】 = 【考え方】 x 【熱意】 x 【能力】
これは、本当にその通りだと思う。
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-----------上記サイトからの引用----------------
(『心を高める、経営を伸ばす』より)
この公式は、平均的な能力しか持たない人間が偉大なことをなしうる方法はないだろうかという問いに、私が自らの体験を通じて答えたものです。

能力とは、頭脳のみならず健康や運動神経も含みますが、多分に先天的なものです。しかし、熱意は、自分の意志で決められます。この能力と熱意はそれぞれ0点から100点まであり、それが積でかかると考えると、自分の能力を鼻にかけ、努力を怠った人よりも、自分には頭抜けた能力がないと思って誰よりも情熱を燃やして努力した人の方が、はるかに素晴らしい結果を残すことができるのです。

そして、これに考え方が加わります。考え方とは、人間としての生きる姿勢であり、マイナス100点からプラス100点まであります。つまり、世をすね、世を恨み、まともな生き様を否定するような生き方をすれば、マイナスがかかり、人生や仕事の結果は、能力があればあるだけ、熱意が強ければ強いだけ、大きなマイナスとなります。

素晴らしい考え方、つまり人生哲学を持つか持たないかで、人生は大きく変わってくるのです。
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しかし・・・
 
俺は、この公式、「まじめ過ぎる人」が信じすぎると、結構危険である事を知っている。
一番危険なのは、腹黒く、世渡りが上手な上司の下に、すごく真面目な人が付いてしまったパターンだ。
 
日系企業で、上司が、部下に対して、
「お前は能力がないから、熱意でカバーするしかない」
と言い続け、部下がサービス残業、休日出勤当たり前の環境で、社畜として働いている人、
しかも、その事に当人は疑問を感じず、
「仕事ってそういうもんだ。労働は国民の3大義務の一つだ」
とか思い込んでしまっている人、俺は、結構な数知っている。
 
さらに、そういう真面目な部下を巧みに見つけ、
政治的なたち振る舞いが上手で、
いろんな会社で部下を潰し続けながら、
巧みに自分は成果を上げていると見せかけ続ける極悪人のマネージャーも、俺は実際に知っている。
 
多分、真面目すぎる部下の方の中には、「うつ病」になってしまったり、
最悪のケース、「過労死」、「自殺」まで至ってしまった人、今の日本に相当数いるんじゃないかと思う。
そういう意味で、この公式は、確かに正しいんだけれども、すごく罪作りな面もある。
 
【能力】なんて、実は人間、そんなにみんな変わらない。
 
「平均的な能力しか持たない人間が偉大なことをなしうる方法はないだろうかという問い」
という巧みな文章の中に、「謙譲・謙遜」という、日本人の素晴らしい精神文化を巧みに突いた、
ブルジョワ側が、プロレタリアの従業員を「奴隷のようにこき使う」うまさが、実は隠されている。
 
・・・なお、この言葉を生みだされた、稲盛さんには罪はない。
なぜなら、稲盛さんご自身は、本当にこの考え方の通りの人生を歩まれたからだ。
問題は、この言葉を使う、「既得権を持った」人達。
 
しかし、成熟化した日本では、俺自身も含めて、
35歳を過ぎた中堅以上の企業で勤めている正社員のサラリーマンの大多数は、
自分が「既得権を持っている側の人間」と考えておいて間違いないと思う。
(俺は零細外資系企業勤務だが、一応、
グローバルの従業員数で見れば、それなりの規模の会社に勤めている。
日本法人の従業員数では、間違いなく零細企業だけれども。)
 
だから、この言葉を自分に対して使うのはいいけれども、部下をうまく使うために悪用するのは、危険極まる。
・・・もっとも、ゆとり世代より若い人達は、ここに隠れた欺瞞(ぎまん)を、鋭く見抜くだろうけど。
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なお、余談だが、【考え方】に関しては、
テーラワーダ仏教の慈悲の瞑想の言葉を忘れなければ、
大きく道を踏み外す事はないと思う。
 
「私が幸せでありますように、
私の親しい人が幸せでありますように、
生きとし生けるものが幸せでありますように」だ。

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