2016年12月1日木曜日

(407) 匿名の恥は掻き捨て

「旅の恥は掻き捨て」という諺がある。
 
旅というのは、何歳になってもいいもので、日常に埋没されてしまい曇ってしまった気持ちをリフレッシュしたり、自分自身を見つめなおしたり、いろいろな効果がある。
 
旅には、大きく分けて北に行きたくなるケースと、南に行きたくなるケースがあるらしい。自分を追い込みたい時には北へ、楽しい気分になりたい時には南へ。ストイックな人は北が好きで、楽天家の人は南が好き。若い時には北、年を取ってくると南への旅が好きな人が増えてくるイメージがある。
 
しかし、「旅の恥は掻き捨て」という諺を裏返すと、「日常生活や仕事での恥は捨てられない」になる。
 
つまり、周囲との信頼関係を少しずつ積み上げて行くことで、仕事や商売、友人関係、親戚関係、近所の関係等々は成熟していくものなので、旅という非日常の世界以外では、「恥を掻き捨てる」のは許されない。それを認めてしまうと、信頼関係を積み上げる意味がなくなってしまい、抑止力がなくなってしまう。
 
現代では、ネットの世界、特に匿名ネットは「匿名の恥は掻き捨て」というのが許される世界になっているように思うが、それが行き過ぎてしまうと、無茶苦茶になってしまう。
 
「旅の恥は掻き捨て」に戻ると、旅人はどこかの場所にお邪魔するわけであり、その旅先にはそこを日常にしている人達が存在している。いくら旅の恥は掻き捨てだからと言って、地元の人に迷惑を掛けるような旅人が増え続ければ、もう、その地元は旅行客をまともに受け入れる意味がなくなってしまう。
 
同時に、旅では、旅人同士の交流も生まれる。旅人同士は同じ立場なので、新しい友人との出会いがあったり、異性との出会いがあったりする。しかし、お互いの過去や履歴が全く解らないので、リスクも大きい。旅を永遠に続ける訳には行かないので、リスクを覚悟でその後付き合い続けるか、それとも人間関係も掻き捨てるか、それは本人達の選択。
 
これと似たようなことが、匿名のネットの世界(Twitterやyahooブログ、知恵袋、OK Wave、2チャンネル、YouTubeなど)でも当てはまると思う。
 
Twitterで実名の人を一方的に攻撃する匿名の人が現れたら、もう、実名の人はTwitterを辞めたほうが得策だろう。名を売るのが仕事の一部の人達を除けば、そういう状態になったらFacebookなどの実名の世界に、自分の交友関係の範囲内で情報をやり取りした方が無難。
 
「匿名の恥は掻き捨て」というのが行き過ぎてしまい、悪質な発言が増えすぎてしまうと、yahooブログも知恵袋もOK Waveも2チャンネルも、その世界自体が無茶苦茶になり、普通の人は寄り付かないようなやり取りが増えてしまう。炎上させたり、過激な言葉を使ってPVを上げるのが当たり前の場所になるようなら、そんな場所には価値はない。
 
だが、『恥の掻き捨て』というのは、使い方次第で良い方向にも悪い方向にも使える。
 
悪い方向に使う人の例は数えきれないので割愛するが、
良い方向の使い方としては、昔ながらの例えなら、水戸黄門の御老公様の旅。
地元の水戸では、名前と顔が知られ過ぎているので恥のかきようがなかっただろう。
悪人は怖くて寄り付かなかっただろうし、基本、ご老公の前ではいい子を演じただろう。
 
現代なら、リアルの世界ではいろんなシガラミや利害関係があって言えないことでも、匿名の世界でなら本音で話す事の障壁は低いはず。但し、その場合の本音は、誰かを貶める事であったり、嫉妬心をぶちまけるのではなく、自分に対して厳しく、かつ、周囲に対しても厳しくあるべきだと思う。
 
自分に対して甘く、周囲に対しても甘い人もいて構わないとは思うが、匿名の世界でも知り合いに愛想振りまいていたら、私の場合は息苦しくて仕方ない。
 
その結果として、これまで通り、私のボヤキをこぼすだけのブログになるなら、ま、それはそれでいいと考えている。ときどき南への旅をするつもりで、このブログの記事を書き、ときどき北への旅をするつもりで知恵袋やOK Wave、TwitterやYahoo株式掲示板(Textream)に気楽に匿名で発信を続けたい。
 
今年2015年も、この方針のままで行こう。

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